細木原青起先生作 干支 文化財



☆雪舟涙のネズミ : 幼くして寺に入った雪舟は、好きな絵ばかり描いていたので、腹を立てた住職は、少年を本堂の柱に縛りつけてしまうのですが、少し可哀想に思い、夕方、本堂を覗いてみると、少年の足もとで一匹の大きな鼠が動き回っている。少年が噛まれては大変と思い、住職はそれを追い払おうとしましたが、不思議なことに鼠はいっこうに動く気配がありません。その鼠は生きた鼠ではなく、少年がこぼした涙を足の親指につけ、床に描いたものだったのです。はじめ動いたようにみえたのは、鼠の姿がまるで本物のように生き生きとしていたからです。それ以後、住職は少年が絵を描くのをいましめることはけっしてありませんでした。